最適な教育資源配置で、国民が満足する教育を実現する

はじめに：教育強国をめざす戦略的取り組み

中共十八大以来、習近平同志を核心とする党中央は、教育を国家と党の“基本戦略”として位置づけられ、教育方針の全面実施が推進されてきました。

また、「科教興国」戦略の深化と教育近代化の加速が意志的に行われており、2035年までに「教育強国」の構築が確実に目指されています。

このプロセスでは、党による教育への全面統制が強化され、教育の制度改革が休むことなく展開され、近年において歴史的成果と構造的変化が目立つようになっています。

さらに、中共二十届三中全会では、地域別教育資源の最適配置が明確に政策指導され、人口動態と連動した公共教育サービス供給メカニズムの構築が求められる方針が打ち出されました。

これにより、教育資源配置の方向性が制度上明示されました。

📝 現状と課題：「量」から「質」への転換

• 教育の量的側面（就学機会など）は現状おおむね解決されていますが、

• 教育の質的側面（内容の高さ、多様性、個別化など）へのニーズが飛躍的に高まっています。

2025年5月20～24日、全国政协副主席・民進中央常務副主席の朱永新氏を団長とする全国政协教科衛体委員会が「地域教育資源配置の最適化」をテーマに陝西省を訪問し、構造的最適化による“人民が満足する教育”を実現すべく調査を実施。

中国式の教育資源配置モデルの構築に向けて、大きな視野で地域間構造を最適化する知恵が寄与されました。

1. 📚 「人民中心」を貫き、公平性を重視

⚠️ 直面する課題：「公平」と「質」の不整合

一方で、次のような課題が浮き彫りにされました：

• 都市部と農村部の教育格差はまだ完全には解消されていない。

• 教育の質に関わる構造的アンバランスが深刻。

• パブリック評価と個別ニーズ間の齟齬が続いている。

これらは、教育は地域的・制度的に社会公平、地域調和、国家の現代化に直結する戦略的課題であることを再認識させます。

全国政协は、より高い政治的立場から、体系的思考と革新的視点で中国式教育資源配置モデルを「新たな范式」として構築すべきと主張しています。

🎯 「まず公平、次に質」へのパラダイム転換

• 「党育ち、人材育成」の政治的使命に基づき、教育方針を徹底実行し、

• 道徳・知性・体育・美術・労働の全側面で発展する人材育成を根幹に据え、

• 教育資源配置の制度的優位性を最大限に活かすことが求められています。

全国政协教科衛体委員会主任・陳宝生氏は、「すべての子どもが“よい学び”を得られるようにすること自体が、教育資源配置と公平性に対する現代的試金石である」と述べています。

また、高品質教育のためには「質の公平性こそが核心」であり、「優れた制度によって促される公平性」が不可欠であると強調されています。

2. 🛠 公正かつ効率的な資源配置メカニズムの構築

習近平総書記は、全国政协十四届三次会議での教育界との連携集会において、「人口構造変化にも適応し、基礎教育・高等教育・職業教育を統括し、政府と社会による投資を調整し、より合理的で効率的な教育資源配備メカニズムを整備すべきである」と強調しました。

調査現場での視察ポイント

• 大都市の大学、中高校、学前教育施設を調査。成果と実践例が収集されました。

• 農村地域や職業学院も直接訪問し、基層側の意見に耳を傾けて、問題点に対する現実の期待が考慮されました。

調査団副主任の尚勇氏は、「現時点では、総供給量の不足や地域・都市・農村の格差といった課題が依然として存在する」と分析し、より効率的で柔軟性を備えた教育資源配置メカニズムの構築が急務であるとの意見を述べました。

🌐 教育空間ガバナンスと国境を超えた共有

• 地域ごとに閉鎖的だった教育資源の提供方式を見直し、

• 跨地域共有を促進する教育“空間ガバナンス”（教育インフラ・データ共有など）が提起されています。

• その実現のためには、政府だけでなく社会資本・民間教育の活力を引き出す必要があります。

教師の流動性と配置の最適化

• 現在、教師の異地域移動が不十分で、「地域固着」と「逆流」が見られます。

• このことが都市と農村との教育力差をさらに拡大させています。

• 教師の流動性を促すシステムを設計することによって、高品質な教師を各地域に効果的に配置できるようになります。

また、全国政协委員・王雪梅氏は、「情報化とデジタル化の強化によって、教育資源の配置を精緻かつ効率的に行えるようになる」と指摘しています。統一プラットフォームやデジタル教材整備により、地域・学校間の壁を打ち破り、均衡配置を後押ししたいとのことです。

3. 新たな局面における教育の全体戦略

習近平総書記は教育の本質を、「政治属性・人民属性・戦略属性」によって特徴づけています。

• 政治属性：育成すべき人材像、育て方、育て対象に対する根本的問いへの解答。

• 人民属性：「教育の基本姿勢」を示すものであり、国民に対する教育的正義を担保します。

• 戦略属性：経済社会発展との連携や中国型近代化を支える役割を明らかにします。

この三属性は密接に関係し、教育を通じて国家建設・現代化に寄与する中国式の教育体制の特色と優位性を支えています。

🎓 教育と人材・科技連携による総合推進

• 調査団は西安交通大学を訪問し、地域・産業・大学が連携したイノベーションエコシステムの実践を確認しました。

• 「6352工程」と呼ばれるイノベーション強化プランにより、産学連携が深化されており、

• さらに「1121モデル」などの具体的連携メカニズムも検証されています。

西安交通大学党委書記・盧建軍氏は、同校が学際融合と基礎研究・先端研究を強化して、「教育技術人材の一体化モデルによる中国式世界トップ大学」形成へ貢献していく方針を示しました。

高等教育の国家戦略との融合

全国政协委員・孫堯氏は、高等教育を「教育強国・科技強国・人材強国という一体的展望」に位置づけ、

• 国家発展全体に寄与するよう、

• 中長期的な視野で教育高等教育の発展戦略を描く必要があると述べています。

人口動態が教育に与える影響

現在、中国は「増（プラス）から減（マイナス）」へと人口構造が転換しつつあります。その結果として：

• 少子化、老齢化、地域による人口増減の分化が顕著化してきました。

• 支援すべき教育資源の総量が調整される余地が生まれる一方で、教育の“質”の向上と配置構造の再編成の契機ともなっています。

全国政协委員・張志勇氏によれば、

• 小・中・高それぞれにおける学位需要が出生率低下の影響を順次受け始めている。

• 加えて、人口流入地域と流出地域での格差がより深刻化しており、

• 現在の配置政策の再評価と急速な修正が必要との指摘がなされました。

また、全国政协委員・杜海峰氏は、

• 義務教育の学位需要が連続的に縮小する「排浪式減少」が確認され、

• 特に西部の農村部では「教科担当教師の不足」と「総数過剰」という二重の矛盾状況が見られると分析。

• そのため、「生徒数変更への定期的査定」「教師・学級編制の長期計画」「生徒数変動に応じた編制の弾性調整」などが必要と提案されました。

🔭 将来を見据えた「人口に応じた教育戦略」の推進

調査団は、長年の「学齢層減なら投資減、増えれば増やす」という反応的モデルから脱却し、

• 人口自然増減のデータに基づく科学的な診断・前瞻的配置、

• 人口変化に応じた“教育の柔軟設計”を強調しています。
  これにより、教育システム全体における適応性と効率性が強化され、長期的に質の高い社会を実現する教育ドライバーの構築が可能になるとの見解が確認されました。

結び：「学べる教育」「満足できる教育」を全ての子どもに

「人民が満足できる教育を提供し、すべての子どもが良い学びを得られる状態を作り上げること」—この思いが調査団委員に共通した熱い願いとなりました。

今回の調査で、対話と議論、共感と一致が徐々に融合され、教育強国実現に向けての現場意識がいっそう強まりました。

これからも不断の努力と課題解決を通じて、中国教育の未来はますます豊かになるでしょう。

（文・図：記者 方慧）

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