韓国の「塾地獄」が深刻化する中、少子化問題に拍車をかける

韓国では、激しい学業競争が「塾戦争」として親たちに表現されることが多いですが、その圧力はますます強くなり、多くの若者が子供を持つことを躊躇するようになり、少子化問題を悪化させています。

この問題は、経済的な負担だけでなく、精神的な負担も家庭に大きな影響を及ぼしているのです。

韓国の教育競争と経済的負担

ソウル郊外に住む49歳の母親、アhnジウォン（仮名）は、「これは本当に戦争です。

戻れません」と語り、韓国における学業達成への強い焦点が家庭に与えるストレスを表現しました。

韓国の学業競争は非常に激しく、幼稚園に通う年齢の子供でさえ、私立の学習塾に通っていることが一般的であり、その多くは高額な費用を伴います。

2023年、韓国の国家統計局によると、低年齢層を含む小中高生のための私立学習塾への支出額は27.1兆ウォン（約19兆円）に達し、前年から4.5％増加しました。

これは、3年連続で過去最高額となり、韓国の少子化が進行する中で、家庭の教育支出がますます増加していることを示しています。

特に高校生一人当たりの月額支出は74万ウォンに達しました。

学習塾にかかる金銭的負担

アhnさんの家庭では、二人の子供のために毎月約600万ウォンを学習塾に費やしています。

最年長の息子は、医学校に入学を目指しており、一度試験に失敗して1年間の準備期間を設けた後、ようやく再挑戦しています。

息子の受験費用や学習費用は、家計の70％以上を占め、アhnさんは「老後のための準備ができないことを後悔したこともあります」と語っています。

塾教育の「地獄」

韓国の首都ソウルの江南区大峙洞（デチドン）は、多くの有名な学習塾が集まる場所として知られています。

この地域では、夜になると親たちが車で子供を迎えに行くため、道路は渋滞し、警察の交通警笛が鳴り響く光景が見られます。

これが「塾地獄」として広く認識されており、家計の重圧と精神的な疲労が子供たちとその親にのしかかっています。

アhnさんの息子は、小学校時代から塾に通っており、中学生の頃には入試に備えて一晩5時間未満の睡眠で過ごしていました。

「子供たちは、夏休みでさえ遊ぶ時間がありません」とアhnさんは述べ、塾教育がどれほど過酷であるかを強調しました。

政府の改革と現実のギャップ

韓国政府は、教育格差を縮小し、私立教育の必要性を減らすために、2023年から国公立の大学入試で非常に難易度の高い問題を廃止し、塾に依存しない教育を目指しています。

しかし、この改革にもかかわらず、親たちは依然として私立塾に頼り続け、塾教育への依存度はむしろ高まっています。

教育コンサルタントであるチョン・デグン氏は、「元大統領のおかげで、私立教育がさらに活性化した」と皮肉交じりに述べています。

特に富裕層の家庭では、塾や模擬試験、個別の準備コースが高額で提供されており、年間70百万ウォンから100百万ウォンの費用がかかることがあります。

金銭的な負担と社会的圧力

親が子供にかける教育費は、家庭の経済状態を左右し、子供の進学先や将来の就職先にも大きな影響を与えます。

アhnさんは、「もし人生を放棄したくないのであれば、子供を持つべきではない」と警告しています。

この言葉は、親たちがどれほど強いプレッシャーを感じているかを物語っています。

教育格差とその影響

結論

韓国における学習塾の過度な依存は、子供たちにとって学業達成のための厳しいプレッシャーを生むだけでなく、社会全体に少子化を加速させる要因となっています。

教育にかかる膨大な費用と精神的負担が家庭に重くのしかかる中、親たちは子供を持つことに対して疑問を抱くようになっています。

この状況を改善するためには、教育制度の根本的な改革と、より公平で持続可能な教育環境の構築が急務です。