🇨🇳中国空母2隻が同時に太平洋で作戦行動　日本政府が警戒強化へ

日本の防衛省は、2025年6月上旬にかけて**中国の空母「遼寧」と「山東」**が、ほぼ同時に太平洋上で活動していたことを発表しました。

両艦は別々の場所で行動していたものの、東京都心から約1,200km南に位置する硫黄島付近で航空機の発着訓練などを実施していたとされています。

これは、中国の空母が太平洋の広域で同時運用された初のケースであり、日本政府は外交ルートを通じて中国側に「懸念」を伝達しました。

🚢硫黄島沖での訓練　中国の海洋進出が鮮明に

防衛省によれば、6月2日には「山東」から戦闘機が発艦・着艦を繰り返しており、その前日には「遼寧」でも同様の訓練が実施されました。

さらに、「遼寧」は日本の排他的経済水域（EEZ）に属する南鳥島周辺にも進出していたことが確認されています。

日本の領海侵犯はなかったものの、こうした中国の活動は、海洋進出と軍事的影響力の拡大を狙った動きとして注視されています。

😟なぜ日本は懸念するのか？

中国の軍事力拡張は、近年急速に進んでおり、空母を含む海軍戦力の運用範囲も拡大しています。

今回の動きでは、中国艦隊が**日本・台湾・フィリピンを含む「第一列島線」を越え、さらにグアムを含む「第二列島線」**まで活動範囲を広げたと分析されています。

これにより、中国が日本やその同盟国である米国に対しても作戦能力を誇示する意図があるとの見方が強まっています。

防衛大臣の発言によれば、「中国は2隻の空母による遠海・遠空での作戦能力を高めようとしている」とされており、日本の南西諸島防衛体制の強化が必要との認識を示しました。

🧭日本の対応：反撃能力の整備も加速中

2022年以降、日本は防衛力の抜本的な強化方針を打ち出しており、特に**長距離巡航ミサイルの導入など「反撃能力」**の確保に注力しています。

今回の中国の空母行動は、こうした政策の重要性を再認識させる事例ともいえます。

🇨🇳中国側の主張：「通常訓練」と説明

一方、中国海軍は6月4日に今回の空母展開について声明を出し、「西太平洋における通常の訓練であり、遠海での作戦能力と統合作戦の実力を確認するもの」と説明しました。

また、「いかなる特定国を対象にしたものでもなく、国際法に基づいて行われている」としています。

中国は近年、「ブルーウォーター・ネイビー（遠洋展開型海軍）」への移行を目指しており、空母運用を柱とする軍事近代化を急ピッチで進めています。

✈️中国空母の戦力とは？

現在活動中の「遼寧」と「山東」は、いずれも旧ソ連方式の「スキージャンプ式」発艦システムを採用しています。

滑走路先端がせり上がっている構造で、航空機の離陸を補助します。

「遼寧」は旧ソ連の空母を改修したもので、中国初の空母として知られています。

「山東」はそれを中国国内で模倣して建造した2番艦です。

さらに、中国は**第3の空母「福建」を2022年に進水させており、これは米国海軍と同様の電磁式カタパルト（EMALS）**を搭載。

本格的な近代型空母として、2025年中の就役が見込まれています。

ただし、現在の3隻すべてが通常動力型であり、米国の原子力空母とは運用面で大きな差があります。

🇺🇸米国との比較と地政学的な意味合い

米海軍は空母11隻を保有し、そのうち1隻（ジョージ・ワシントン）が日本に前方展開中です。

これに対し、中国は数で劣るものの、質的強化を図っており、今後の差は縮まる可能性があります。

米国国防総省の最新報告書では、中国の空母による展開が「地上防衛圏を超えて任務部隊を防護する能力を持つようになってきた」と指摘しており、アジア太平洋地域における安全保障構造への影響は無視できません。

🔍まとめ：動揺せず、冷静な対応が求められる

中国の空母2隻が同時に太平洋で活動したという事実は、戦略的メッセージと受け止められるべきでしょう。

日本としては、短期的な脅威ととらえるのではなく、中長期的な海洋安全保障戦略の再構築を見据えた対応が必要です。

外交的対話と防衛力整備を並行して進めながら、地域の安定と抑止力の維持に努めることが今後の鍵となるでしょう。