2024年、日本の開発援助はOECDで4位、イギリスが3位に回復

日本は2024年、経済協力開発機構（OECD）のメンバー国の中で、開発援助（ODA）の提供者としておそらく4番目に大きな規模を誇り、イギリスは3位を回復したと、OECDの予備データが示しています。

この報告書は、同機関が4月に発表したもので、アメリカが引き続きODAの最大の提供国であり、OECD開発援助委員会（DAC）の32か国の中で最上位に位置していることが明らかになっています。

日本のODA支出の動向

アメリカのODA支出は2024年に633億ドルで、前年比4.4%減少しましたが、それでも引き続きトップを維持しています。

ドイツは324億ドルで2位に位置し、前年比17.2%減少しています。

一方、イギリスは180億ドルで3位となり、前年比10.8%減少しました。

日本は168億ドルを見込んでおり、前年比10.3%の減少を記録しています。

フランスは154億ドルで日本に続き、前年比ほぼ変動がありませんでした。

この結果、日本は2021年にイギリスを抜いて3位となった後、2024年には4位に後退することとなりました。

日本のODA支出の減少の主な原因として、円安の影響が挙げられています。

コロナ後の影響とODAの重要性

日本の外務省によると、2024年のODAの減少は、2022年と2023年に見られた急激な増加とは対照的でした。

これらの年には、COVID-19パンデミックによって一時中断されていた多くの開発プロジェクトが再開され、支援が活発になったためです。

しかし、2024年にはその反動として、円安などの影響でODAが減少しました。

日本政府はODAを「最も重要な外交ツールの一つ」と位置付けており、特に中国の軍事的・経済的影響力が増す中で、「自由で開かれたインド太平洋」を目指す日本にとって、ODAは重要な役割を果たしています。

日本は公共債務が国内総生産（GDP）の2倍以上という厳しい財政状況に直面している中で、引き続きODAを通じて国際貢献を行っています。

世界全体のODAの動向

OECDの報告書によると、開発援助委員会（DAC）メンバー国全体のODA支出は2024年に実質で7.1%減少し、総額で2121億ドルにとどまりました。

これは5年連続での増加を経た後の初めての減少となります。

この減少の理由として、国際機関への拠出金の減少や、ウクライナへの援助が減少したことが挙げられています。

2022年から続くロシアの侵攻に対するウクライナへの支援は、2024年には16.7%減少し、155億ドルとなりました。

この金額は総援助額の7.4%を占めています。

また、人道的支援の低下や、受け入れ国での難民支援の削減も、ODAの減少に影響を与えた要因とされています。

日本のODAの外交的意義

日本にとって、ODAは単なる経済支援にとどまらず、外交政策の一環として重要な役割を担っています。

特にインド太平洋地域における中国の影響力が拡大する中で、日本は国際社会と協力しながら、地域の安定と発展を促進するためにODAを戦略的に活用しています。

また、ODAを通じて、日本は途上国との関係を深め、経済的な援助を提供するだけでなく、技術協力や人的資源の育成にも力を入れています。

これにより、日本は国際的な信頼を高め、世界の平和と安定に貢献しています。

結論

2024年の日本のODA支出は、円安などの影響を受けて減少したものの、それでも日本の国際的な影響力を示す重要な手段であることには変わりありません。

日本のODAは、経済援助や技術協力を通じて、途上国の発展を支援し、同時に日本自身の外交的な利益を強化するための重要なツールとして位置づけられています。

今後も、国際的な課題に対応しながら、日本はODAを通じて世界の安定と発展に貢献していくでしょう。